2015

17

Jun

試乗レポート

<ホンダ>軽スポーツカー【S660】試乗レポート

カンタンにまとめると!

  • 1991年のホンダBEAT以来、24年ぶりとなる軽スポーツカーが登場
  • 軽でありながらミッドシップレイアウトを採用して運動性能を向上
  • 一度走らせると何物にも代えがたい魅力が存分に感じられる

 走る楽しさ気持ち良さをMAXに手に入れたスポーツカー

【世界初!】ホンダS660に一番乗り!/Honda S660 First-drive #LOVECARS

【好印象】ホンダS660公道試乗

とびっきり楽しい軽自動車が登場した。
みなさんも既にご存知のホンダS660(エス・ロクロクマル)だ。

1991年に登場したホンダBEAT以来、実に24年ぶりとなるホンダの軽スポーツカーは、登場時から大きな話題を呼んで大人気モデルとなっている。

しかもS660は少量生産で1日40台、月に800台(現在は1日48台に増産中)しか作れないため、現時点でオーダーしても納車されるのは来年になってしまうほどの人気っぷりだ。

「自分たちが欲しいと思うクルマが作りたい」という想いのもと、世に送り出されたS660の企画・開発のリーダーは、なんと若干26歳の椋本陵さん。社内で公募した企画で見事優勝し、そのままこの企画のリーダーに大抜擢されたという。そして若い椋本さんをベテランのエンジニアが支えつつも、全体では平均年齢の若いチームでクルマ作りがなされた。

そうして世に送り出されたS660は、かつてのBEAT同様に軽自動車ながらもミッドシップ・レイアウトを採用した。これはエンジンを運転席と助手席の後ろに搭載するスポーツカーにとっての理想のレイアウト。
これによって運動性能を向上できるメリットがある。

ホンダ 軽スポーツカー S660 2

もっともその分、車内に余分なスペースが設けられず荷室等も広く取れない。

特に軽自動車は規格サイズが小さいため、S660は室内も大人2人が乗れる最小限であり、荷物を置く場所はトランクを含め皆無、という乗り物だ。

だから実用性はゼロ。
しかし実用性を犠牲にした分、走る楽しさ気持ち良さはMAXに手に入れた1台ともいえる。

搭載エンジンは軽自動車だけに、660ccの3気筒ターボとなる。最高出力は64馬力、最大トルクは10.6kgmと数値自体は他の軽自動車と変わらない。

ただしエンジンは“気持ち良さ”を感じられるように、回転がより反応よく回るようにしたり、音の演出がなされる。つまり、性能的には他と変わらないが、フィーリングを良くしようと磨きあげた。

またスポーツカーだけに、組み合わせられる変速機ではマニュアル・トランスミッションが設定されている。しかもこのマニュアルは操作感にこだわって、“シフトするのが実に気持ち良い”ものとして作り込まれている。
こんな具合でS660は、あらゆる部分が実用ではなく走り、そしてその走りを楽しむために徹底的にこだわって作られているのが特徴だ。

またS660はオープンカーであるが、オープンの方式もユニークだ。
ガバッと幌を開けるタイプが一般的な中にあって、S660のそれは頭上のみが開く構造。フロントガラスとリアのガラスの間に幌が張ってあり、開ける際にはこの部分を海苔巻きのようにクルクルと巻いてボンネットの下の専用収納ボックスに収める仕組みだ。

リアのガラスが残るので、通常のオープンよりも開放感は低い? と思いきや、フロントガラスが比較的立ち気味なので、頭上はスッキリとした抜け感があって好印象。またスイッチでリアガラスの真ん中を下げることもできて、そうすると可愛らしいエンジンサウンドが聞こえるし、風の抜けも良くなって巻き込みが減少する。

S660は軽自動車だけど、実はサーキットや峠道では格上のクルマに迫るほどの性能を見せつけてくれる。カーブでの踏ん張る力がとても強いので、カーブを高い速度で曲がれるゆえに速いのだ。だからエンジンが軽自動車のそれでも、高いペースで走行ができる。

しかし一方で、街中で乗るとサーキットや峠道で感じたスポーツ性の高さは若干影を潜め、とても付き合いやすい相棒になってくれる。ハンドルも軽めのフィーリングで、エンジンも気持ち良く回転してくれる。そして走らせた感じは、とても軽快で楽しく気持ち良い。良い意味で、軽自動車らしい身近な感覚があるから、交差点を曲がるようなシチュエーションですら楽しいのだ。

実用を考えると厳しいし、価格も廉価なグレードでギリギリ200万円を切る程度と決して安いクルマではない。しかし一度走らせると、何物にも代えがたい魅力が存分に感じられて、「欲しい!」と心底思えるのだ。

実はこの原稿を書いている僕も、そんな風に心を揺さぶられてオーダーをした1人。久しぶりに身の丈で付き合えそうなスポーツカーだと痛感した1台だった。