公道で自動運転ができる車が登場

夢の自動運転

車に乗って座っているだけで、車が自動運転で安全に道路を走り、目的地まで連れて行ってくれる――

そんなSFのような世界が、現実のものになりつつあります。

自動運転自動車の開発は、既に国内外の自動車メーカーが着手し、実用化に向けて研究が進められてきました。

そして、2013年以降、日本国内の自動車メーカーによる公道での自動運転実験が、何度も行われているのです。

シミュレーションやテストコースでの走行と違って、公道を走るためには、車両ナンバーを取得して関係省庁の許可を得る必要があります。

それをクリアしたということは、日本政府が、自動運転自動車の実用化を積極的に支援していることの証だと言えるでしょう。

運転手がハンドルを握って操作する必要なく、座っているだけでドライブできる日がやって来るのは、そう遠くないかもしれません。

先進安全自動車の現状

自動車事故の原因の9割は、判断ミスや不注意などの人為的ミスであると言われています。

自動運転自動車の開発が進められる背景には、そのような人為的ミスが起こることを防ぎ、事故ゼロ社会を作りたいという願いがあるのです。

完全自動運転とまでは言えないながらも、近年では、様々な運転サポートシステムを搭載した自動車が発売されています。それらは、「先進安全自動車」とも呼ばれています。

例えば、前方の障害物をセンサーが感知して衝突する前に自動でブレーキがかかる自動車は、テレビCMでもおなじみです。

他にも、先行車との車間距離を保ってくれる「ACC」や、車線をはみ出すと警報が鳴る「レーンキープアシスト」、疲れや眠気によって蛇行運転すると注意喚起してくれる「ふらつき警報」などのシステムが実用化されています。

このような先進安全自動車の性能の高さを見れば、自動運転自動車の実現が、技術的にかなり現実的なものになっていると納得できるのではないでしょうか。

社会への恩恵

完全な自動運転自動車が実用化されれば、私達の社会はどのように変わるのでしょうか。

最も大きな恩恵は、人為的ミスによる事故がなくなるということです。自動車と道路のシステムによって、安全な自動運転が可能になれば、スピードの出し過ぎや不注意による交通事故は起こらなくなるでしょう。

また、自動車が自動で走行するようになると、人間が操作する必要がなくなります。そうなれば、私達はもっと気軽に車で移動することができるようになるでしょう。

例えば、技術面で運転に苦手意識がある人や、体力的に運転が難しい高齢者でも、安心してドライブができるようになります。

高齢化が進む日本では、増え続ける高齢者の日常生活をどのようにサポートするかという問題が課題となってくるでしょう。自動運転自動車が普及すれば、高齢者でも安心して快適に外出できる社会になると期待できます。

走るべき道を感知

自動車が自動運転で走行するためには、特別な設備のある専用道路でなければいけないような気がしませんか?

ですが、近年の公道での自動運転自動車実験は、ごく普通の高速道路や一般道路で行われているのです。決して、自動運転自動車のために造られた専用道路ではありません。

では、自動運転自動車は、進むべき道をどのように把握しているのでしょうか。自動運転自動車には、車線維持支援システムが備わっています。道路に引かれた白線をセンサーで感知することによって、車線から逸れることなく走ることができるのです。

ですが、街中の道路には、白線がない道路や薄くなっている道路もあります。そういった、テストコースにはないイレギュラーな事態に対応できるかを調査するために、近年の公道での実験が行われているのです。

また、より安全な自動運転を実現するためには、車が取得する情報だけでは難しいことは事実です。そのため、自動運転自動車の開発と平行して、道路情報を無線通信で車両に送信するシステムの開発が進められています。

既に、日本全国の高速道路で、道路・車両間の無線通信を可能にするシステムの設置が始まっています。

市街地というハードル

自動運転自動車にとって、高速道路と一般道ではどちらが走りやすいでしょうか? 正解は、高速道路です。

高速道路を始めとする自動車専用道路では、歩行者や自転車が飛び出してくることはありません。交差点や障害物もなく、速度を守って道なりに走ればいいという高速道路は、自動運転自動車にとって最も走りやすい環境であると言えるでしょう。

なお、スピードは自動で制御されるので、「知らず知らずのうちにスピードが上がり過ぎていた」という危険がなくなります。先行車との車間距離を維持するシステムも搭載されているので、追突事故の防止にもつながります。

一方、一般道を走行するとなると、自動運転自動車にとってハードルが高くなります。

特に市街地などの交通量が多い道路では、周囲の情報を自動車がいかに感知できるかが鍵となります。

現在でも、市街地の事故は自動車専用道路より遥かに事故発生率が高いと言われています。だからこそ、市街地でも安全に走れる自動運転自動車の実用化が、強く期待されています。