2015

27

Apr

クルマの基礎知識

車のエンジンの仕組みは?車が走る原理について解説

クルマ選びのポイント!「用語解説」クルマの走る仕組み5タイプ

駆動【くどう】

「FF」という言葉を耳にしたことはありますか? もしかしたら、人気RPGゲームシリーズのタイトルを思い浮かべた方もいるかもしれませんが、実は「フロントエンジン・フロントドライブ」というクルマの駆動方式を表す用語でもあります。クルマの走りなどにも大きく影響する駆動方式は、クルマ選びの重要なポイントのひとつとなります。「そもそも駆動方式って何?」という声も聞こえてきそうなので、前置きはここまで。いろいろと専門的な用語も出てきますが、できるだけ簡単に説明させていただきます。

機械の回転部分などに、動力を伝えて動かすこと。クルマを運転する前に、まずはクルマが走る仕組みを頭に入れておきましょう。


①エンジンが回る
②エンジンの回転がギアに伝わる
③ギアから動力がタイヤに伝わる
④タイヤが地面を蹴る


簡単に言うと、こうしてクルマは進んでいきます。クルマの駆動方式はエンジンの位置と地面に動力を伝える駆動輪によって、5つのタイプに大別できます。それぞれに特徴があるので、順に見ていきましょう。

FF【Front engine Front drive】

FF【Front engine Front drive】

車体前部にエンジンがあり、前方の二輪を駆動するクルマのことです。

5つある駆動方式のうち、近年最もポピュラーと言えるのがこのタイプ。FFのメリットは「製造コストが低い」「走りは安定志向」「車内スペースが広くとれる」という3点。

「製造コストが低い」理由は、エンジンと駆動系をひとまとめにできるからです。ほかの駆動方式のクルマだと、エンジンの動力をタイヤに伝える部品が必要となってきます(詳細は後述)が、FFではそれが必要ありません。「走りは安定志向」の理由は、重いエンジンが駆動輪の近くにあるお陰でタイヤにもその荷重がかかりやすく、スリップせずにクルマを前に進める力(トラクションと言います)が向上します。雪などで滑りやすい路面でもしっかり踏ん張って走れるといったメリットもあり、ビギナーに向いていると言えるでしょう。

また、駆動系の部品が車両前方に集まっていることで、それだけ車内スペースが広くとりやすいという点もメリットです。最近流行りのミニバンタイプや軽自動車など、広い室内空間をウリにしているクルマは、このFFタイプを採用していることが圧倒的に多いです。かつてはアンダーステア(コーナーなどでハンドルの切り角度よりも、外側に膨らんでしまう挙動)が強いなどと言われましたが、最近のクルマなら街中で乗る分にはまったくと言っていいほど影響はありません。

FR【Front engine Rear drive】

FR【Front engine Rear drive】

車体前方にエンジンがあり、後方の二輪を駆動するクルマのこと。

駆動方式の中でも、もっとも古典的なのがFRです。FF方式の技術が進化する前は、このFR方式が主流でした。前輪は舵取り、後輪は駆動と、それぞれの役割が分担されているため、ステアリングフィール(操舵感覚)の良さが特徴で、スポーツカーや高級セダンにはこのタイプが多いです。

車両重量の前後バランスも良いのでクルマの動きが分かりやすく、走りの楽しさを味わいたいという人にはオススメです。デメリットを挙げるとすれば、FFと比較して製造コストが高くなりがちなこと。エンジンと後輪をつなぐプロペラシャフトという部品が必要となるため、それだけでも割高になります。

また、この部品の影響で後部座席足元の床が盛り上がるなどスペースをとるため、車内は多少手狭になってしまいます。エンジンの荷重が後輪にかからないので、後輪が滑りやすいといったデメリットもありますが、いまでは電子制御などでそれを防止するシステムも発達しています。

4WD【4 Wheel Drive】

4WD【4 Wheel Drive】

エンジンから伝達された動力を、4つのタイヤすべてに配分できる四輪駆動車。略して四駆と呼ばれることもあります。

FFやFRなどのいわゆる二輪駆動車(2WD)と比べて、段違いの駆動力を誇るのが4WDです。すべてのタイヤが駆動するため安定性があり、雪道などの滑りやすい路面やオフロードを走るのにもっとも適しています。その反面、車体が重くなりがちで、燃費にも響くのが玉にキズ。車両価格も比較的に高めの場合が多いです。

常に四輪が駆動するのが「フルタイム4WD」、普段は2WDで走行しながらも、必要な時に(自動・手動を問わず)4WDに切り替えられるシステムは「パートタイム4WD」と呼ばれます。現在は必要に応じて自動で2WDから4WDに切り替わるタイプが主流で、冬に雪が積もるような地域に住んでいる人や週末にアウトドアを楽しむ都市生活者にはピッタリだと言えそうです。

MR【Midship engine Rear drive】

前後の車軸の中間にエンジンがある後輪駆動車。

一部のスポーツカーなどに採用されているタイプで、車体のほぼ中心、後部座席付近にエンジンがあるため、旋回性能や運動性能に優れているのが特徴です。構造上2人しか乗れないということでMRの採用車種は比較的少なく、いわゆる本格スポーツカーと呼ばれるクルマだけと言えそうです。

RR【Rear engine Rear drive】

車体後方にエンジンのある後輪駆動車。

トラクションは最高ですが、車体前後の重量バランスは良くないため、かつては安定性が悪いとされました。国内外問わず、現在このタイプのクルマはほぼ見当たりません。しかし、現在も生産されるRR車のポルシェ911は、50年ほど前のこの不利な駆動方式をそのまま継承しています。

それにも関わらず、いまでも超一流のスポーツカーであり続けていますから、駆動方式は技術の力でカバーできるものと言えるかもしれません。

取材・文:クレインズ
イラスト:タケバヤシデザインファクトリー